2016年06月26日
友人は今までの経験から音の正体が「良くないもの」の様な気がしたそうです
11 : 青田 ◆t291XhvMgA [sage] : 03/05/22 11:07
友人が中目黒のとあるホテルに泊まった時の話です。
彼は建物の一番端の部屋に泊まったのですが、すぐ外には非常階段がある感じ
でした。彼が寝入るとすぐに「カンカンカン」と非常階段を上って来る音。
時刻は夜中1時頃。「こんな時間に・・・、多分夜警さんだろう」と寝ぼけた頭で考えながら
ふとんをかぶると「ガチャッ」とドアが開く音がしました。自分の部屋のドアかと思い
飛び起きると、どうやら夜警さんが非常階段のドアから入ってきた様子。友人の部屋の
ドアと非常階段のドアはすぐそばなので当然だろうと思いつつも「うるさいな」と感じたそうです。
そして「コツコツコツ」と廊下を歩く音。しだいに音は遠ざかって行きました。
12 : 青田 ◆t291XhvMgA [sage] : 03/05/22 11:08
それから友人が眠りについてしばらく経つと、また「カンカンカン」と非常階段を誰かが
昇ってくる音。「ああ、夜警さんだな」と思い、一瞬開いた目を閉じて友人は眠りに
落ちていきました。ドアを開く音、廊下をカツンカツンと歩き去る音。
友人は喉が渇いて目を覚ましました。水を飲んでベッドに腰掛けていると
また非常階段を昇ってくる音。「カンカンカン」。ここで友人は「おかしい」と感じ
始めました。「いくら夜警と言ってもこんなに何度も見回るものだろうか。現在の時刻は
午前3時。2時間の間に3回も?しかもここは2階で建物は6階建て。なぜ2階で建物に
入る?しかも・・・なぜ、非常階段で昇ってくる必要がある?」途端に友人はゾッとしました。
13 : 青田 ◆t291XhvMgA [sage] : 03/05/22 11:09
空気が突然重くなり始め、友人は今までの経験から音の正体が「良くないもの」の様な
気がしたそうです。ドアが開く音。友人は「きっと夜警さんだ、間違いない」と呟きつつ
自分の部屋のドアに近づきました。確かめて夜警さんであれば「うるさいですよ」と
文句を言うつもりで。ドアを開けようとした瞬間、友人は硬直しました。視線。たくさんの
視線。ドアの向こうの音の主は廊下を歩き出さずにドアの前で立ち止まっている様子。
しかも、「こっちを見てる・・・」。友人はどうしてもドアを開けて確かめる事ができなかった
そうです。長い時間硬直していました。やがて「コツンコツン」と床を鳴らして歩き去る音。
音が消えてから友人は思い切ってドアを開け、廊下に飛び出しました。
14 : 青田 ◆t291XhvMgA [sage] : 03/05/22 11:09
誰もいない廊下。後ろを振り返ると非常ドア。何となくほっとして床に視線を落とした時、
友人は凍りつきました。床は絨毯でした。決して「コツンコツン」とは鳴りません。
翌朝、ホテルの人間に夜警がいるかどうか訊ねると「いない」という回答だったそうです。
この話には後日談がありますが、それはまた別の機会に。
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