2016年01月
2016年01月31日
我が家の死んだ犬でした
313 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2002/09/20 05:58:00
私の家の犬が、私が小学六年の時に交通事故で死にました。
家の目の前の道路で、うちの犬が好きな車(よく車で出かけてました)に自分から突っ込んで
いったのです。轢いた車はうちの車にそっくりでした。
その犬は、私たち家族といつも一緒でした。旅行の時も、その車で長期旅行をしたものです(ドライブかな?)
轢かれたとき、まだ生きていて、轢いた車の乗り主も降りてきて、泡を噴き、水を飲ませたら二口くらいのんで、そのまま死にました。
一番ショックを受けていたのは父でした。父が一番可愛がり、車によく載せていたのも父だから、凄く後悔していました。
そして、父はオレンジ色の毛布にくるまった犬の死骸を抱いて、どこかに埋めにいきました。その場所は父しか知りません。
そして数年後、私の家の新しい犬が、失明しました。元々目の病気を持っていたので、それが悪化したのです。
私たちは悲しみました。医者に言われた「もう二度と見えることはない」って…
それを通告されて、二週間ぐらい?後のとある夜。私は夜更かししていて、深夜までおきていました。
そしたら玄関のドアをバン!!と叩くような音と「ワンワン!!」って確かに聞こえました。
私はビックリして玄関に走りました。どこかの野良犬か?とも。
しかし、うちには玄関フードがあり、野良猫進入阻止のためにかぎもかけてあり、ドアを直接叩くのは不可能でした。
親もでかけていません。玄関フードを叩いたぐらいじゃあんな音は出ないし、第一犬の声が聞こえるじはずもない…。
気のせいだったのでしょうか。
しかし数日後、その失明した犬を検査のため病院に連れて行ったらなんと、片目だけ視力がわずかだけ回復している、と。
奇跡としか思えませんでした。
今年、父の母と父が亡くなり、骨壷を墓に入れる現場に立ち会いました。
墓の石を動かして、中を見たとき、私はびびりました。
あの、オレンジ色の毛布があるのです。何か、包んであるような…。
それはまぎれもなく、あの我が家の死んだ犬でした…。
全然心霊っぽくなくてすいません。父の気持ちが、凄く伝わってきて…
片目の視力回復の奇跡も、このこがもたらしてくれたもの、と私は思いたいです…
い、いやぁ…… い、いたい……
635 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/06/26(日) 20:05:52 ID:h33A0+DJ0[1/3回(PC)]
私が中学生のとき、当時通っていた学習塾での体験です。
その学習塾は6階建てテナントビルの4階と5階、6階の3フロアに入
居していて、4階には事務室や塾長室などがあり、5階と6階は教室に
なっていました。
私は毎日夜遅くまで教室に残って勉強し、母の迎えの車で帰宅してい
ました。女の子の深夜のひとり歩きは危ないからと、母が協力してくれた
のです。
やはり遅くまで残って勉強していた、ある日のこと。
家に帰ろうと階段を下りていると、男の子のすすり泣く声が聞こえてき
ました。耳を済ませると、4階から聞こえてくるのが判ります。灯りの落
ちた廊下を覗くと、その突き当たりにある『塾長室』の前で、俯く人影を
見つけました。暗がりの中でしたが、背格好から小学生の男の子と判り
ました。
時刻は既に午後11時をまわっていて、小学生たちはとうに帰ったは
ずです。心配に思って声をかけようとすると、男の子はドアノブに手を
掛けて塾長室に入っていきました。
そっと後を追いかけてドアの前に立つと、中から苦痛を訴える男の子
の声が聞こえたのです。
「い、いやぁ…… い、いたい……」
私は驚いて、ドアを開けようとしました。
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某地下鉄線駅の駅員をやっている
619 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/06/04(土) 21:56:16 ID:SRP8lAAN0[1/4回(PC)]
俺は某地下鉄線駅の駅員をやっている。まだまだ諸先輩方に世話に
なりっぱなしの新人だ。
俺があれを初めて見たのは、2ヶ月前の深夜のことだった。
終電を見送った後、ホームを軽く掃除しながら忘れ物や落し物、不審
物は無いかとホームの様子を窺っていた。
すると、階段の昇降口に、ひとりの男が立っていることに気が付いた。
「もう終電が行ってしまったので、明日の始発まで駅の外で待ってて下さい」
「すいません、分かっています……」
少し離れた所から声をかけたためか、男は俺を一瞥したきり動こうと
しない。もう一度、今度は近くで説得しようと足を踏み出した時、後ろか
ら先輩に肩を叩かれた。
「あの人はいいんだ。覚悟をしているんだろう……」
先輩の言っていることの意味を訊ねようとした時、警笛が聞こえてきた。
ホームから身を乗り出すと、暗闇の向こうから二つの光が近付いて来る
のが見える。回送電車が来たのかなと思った瞬間、男はあれに飛び込
むつもりなのかと閃いて慌てた。
「大丈夫だ、あの人はあれに飛び込むつもりは無いよ」
駆け出そうとする俺の肩を、先輩はギュッと掴んで止めた。
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仕事の関係でアジア圏を中心に出張や短期駐在にゆくことがあります
309 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2002/09/19 00:10:00
ここはいいところですね。ここをみてると日本人もまだまだいいぜ、って
おもいます。
わたしもちょっと書きます。私は仕事の関係でアジア圏を中心に出張や短期駐在にゆくことがあります。
こういう生活を続けるとかえって日本の風物が懐かしくなるもので、
いまの趣味が休日利用の温泉や神社仏閣巡りが中心になってます。
で去年の夏、高野山に行ってきました。
そこの奥の院というところは、いろんなお墓があることで有名な
霊域ですが、そこに行ったらどうしても脚が横道にそれて私には
関係のない墓に立ち止まってしまいます。
ああ、引っ張られてるなとおもいましたが、これも何かの縁と
般若心経を唱えました。そしたら次もまた引っ張られて心経、
また引っ張られて心経と繰り返してました。いくつくらい
廻ったのかわかりませんが、奥の院というところは入り口から
弘法大師の眠る御廟まで一時間強もあればかえって来れる
ところですが、わたしはそんなことしてたから3時間半ほどかかりました。
実はここに来るまで左肩がやたら重かったのですが、ひとつひとつ
そうした墓や碑を過ぎるたびに軽くなってきたことも覚えてます。
そして其の夜、旅先の旅館で夢をみました。(続く)
2016年01月30日
指輪はそれからしばらく光っていましたが、今は普通の状態に 戻っています
307 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2002/09/16 10:06:00
5年前婚約中だった主人と体験した事です。
主人が小学生の時に交通事故で亡くなった、義母のお墓に初めてご挨拶に行き、
買ってもらったばかりの婚約指輪を墓前に置き、手をあわせました。すると、その
指輪が急に輝き出したように見えました。光の加減か、それとも女心の思い込みと
(当時婚約中の)主人に取られるのも恥ずかしかったので、私は口に出さずにいたら、
主人が「指輪、すごく光っていない?」と言ってきました。二人とも不思議だと
思いながらも素直にその状況を受け入れられ、おかあさんが祝福してくれたのかな、
と話しながら、夕食をとるため繁華街に向かいました。
夕食の時間には少し早く、お店も準備中だったので、中途半端に余ってしまった
時間潰しをしようと(当時婚約中の)主人がパチンコにつれて行ってくれました。
わずか30分足らずの時間で「大当たり」が出、温かくなった懐に喜びながら目当
てのお店に向かいました。
開店直後でも人気のその店はすぐに満席になってしまい、順番待ちをする私たちの
ところへ、お店の方が、二人連れのお客様は相席になってしまいますが、と確認に
きました。せっかく来たのだからと待つことしばし、案内されたのは柱の影に置か
れたそのお店でただ一つの二人がけのテーブルでした。二人でゆっくり食事もとれ、
会計前に伝票を確認すると、そこに書かれた金額は先ほどのパチンコであたった
金額と似ています。「まてよ」と、パチンコに使った玉代を引いて、キャッシャー
で消費税込みの金額を出してもらったら、ほぼ同じ金額でした(1.2円ぐらい
しか、かわりませんでした)。
初めて挨拶に行った私たちにきっとお母さんがごちそうしてくれたのだと、主人も
私も信じています。指輪はそれからしばらく光っていましたが、今は普通の状態に
戻っています。ちなみに主人はそれ以来(もったいなくて)パチンコには一度も
行っていないそうです。
遺跡発掘
303 : 名無しさん@あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] : 投稿日:2002/09/13 23:35:00
心霊ではないのですが、不思議な出来事が今日ありました。
私は民俗資料館で臨時職員をしているのですが、夏場は遺跡発掘もしてます。
今日、以前遺跡現場から出たわずかな遺物を洗うため
水場に行くと、前から探してたけど見つからなかったポリタンクのパーツの一部が見つかりました。
パーツを元のポリタンクの所に戻そうと、民具や遺跡発掘の道具のある倉庫に行くと
すごくゴチャゴチャしている倉庫が片付けられていて、思わず奥に進みました。
(後で聞くと同僚の人が民具整理のため片付けてた)
思わず辺りを見回すと大きな木箱が目に入りその中に何冊かの本が
積み上げられていました。
私の目に入ったのはその積み上げられた本の一番上の冊子、
「○○女子師範学校同窓会会誌」
……私の父方の祖母の出身校の同窓会会誌でした。
見た瞬間その本を手に取り、名簿の欄を調べるとそこにはしっかりと
私が生後一ヶ月の時に亡くなった祖母の名が。
他にも各地域の支部だよりでの祖母の近況など名前が書いてありました。
兼ねてから祖母がその学校出身とは聞いていましたが
祖母の住んでた町とは遠く離れた民俗資料館の隅の倉庫
(しかも本の保管場所とは本来違う場所)で、
私の自宅からも30分電車+20分車を使うほど離れています。
こんな祖母とは縁ともゆかりない場で祖母の名を見つけた時には、
あまりの驚きに頭が真っ白になり、場に座りこんで「おばあちゃん」と繰り返すのみでした。
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一晩生死の境をさまよいました
299 : ◆wESsS8vQ [sage] : 投稿日:2002/09/13 01:00:00
心霊というより偶然のなせる技ですが・・
長男出産後のことです。
出産後、母子ともに健康とのことで、立ち会ってくれていた
義母も家の用事をすませに一旦帰宅しました。
私は一人で嫁さんに付き添っていたのですが、義母が帰宅後
しばらくして、嫁さんが”お腹が痛い”と訴え始めました。
経験者(義母)も不在で”どうしたものか?”と思案しながら
ひょいと部屋から外に顔を出すと、たまたま、当日の勤務が
終わり帰りかける看護婦さんが通りかかりました。
自分:”お腹が痛いってるんですが”
看護婦さん:”あ、じゃみて見ます。”
看護婦さん:”すごい出血してる。大変”
結局、産院では手に負えなくなり、市民病院に移りました。
一晩生死の境をさまよいましたが、大量の輸血で
嫁さんは辛うじて助かりました。
続く
300 : ◆wESsS8vQ [sage] : 投稿日:2002/09/13 01:04:00
翌日、翌々日とも子供は産院に預けたままでした。
そんなおり、嫁さんが入院している病院に見舞いにきていた
実母が、知り合いの看護婦さんにばったり出会いました。
母が事情を話すと、知り合いの看護婦さんは
”子供とはなれ離れはなんだから”ということで、
院内の手配を進めてくれ、子供を産院から移すことに
なりました。
嫁さんの隣に子供を寝かせホッとしたのもつかの間、
子供の様子を見にきた小児科のお医者さんが、
”ちょっとレントゲンとりましょうか”といいだしました。
で、レントゲンをチェックしたお医者さんから肺が縮小して
きているので緊急手術が必要と告げられました。
市民病院ではその手術が出来ないため、子供だけ大学病院に
救急車で移送され、その日のうちに手術を行いました。
子供も何とか助かり、今でも元気です。
自分にとっては、一週間に満たない間に嫁、子供を危うく
失いかけ、目が回るような状況でした。
続く
301 : ◆wESsS8vQ [sage] : 投稿日:2002/09/13 01:05:00
今となって振り返ると、最初の産院で看護婦さんを捕まえたのも、
市民病院で母が知り合いの看護婦さんに出会ったのも単なる”偶然”です。
でも、もし、偶然の歯車が少しでもズレていたら・・・
いまでも独身かもしれません。
やはり、誰かに助けてもらったのかな・・と思います。
終わり
年配の女性が呼ぶ声
798 :鳥ぎん[]投稿日:2005/09/20(火) 05:09:43 ID:f5TDcEWm0[1/1回(PC)]
あまり怖くないですが、霊感の全くない私が体験した唯一の話を一つ。
高校生の時に居酒屋でアルバイトをしていた時の話です。
その晩、私は遅番で、時間も深夜の12時を回っていました。
ウエイター係は私と先輩の2人だけで、お客もあと3~4組しか残ってなく、
暇だった私は店内を見回しながら立っていました。
その時、前座敷から
「すみませ~ん」と、年配の女性が呼ぶ声がしたのでその前座敷に行きました。
前座敷の障子を開け、「はい、ご注文ですか?」
と言うと、そこには中年のおっさん4人が居て話で盛り上がっていました。
入口側に座ってた一人のおっさんに、「ん?呼んでないけど・・・」と言われ、
私は「すみませ~ん」と言い、障子を閉めました。
おかしいな・・・と思いながらその話を先輩に話しました。
「年配の女性の声がしたので行ったら、おっさんしかいなくて・・・」
真剣に説明する私の話を先輩は笑いながら聞いていました。
その時、また、さっきの前座敷から「すみませ~ん」と年配の女性の声がしました。
今度は私と先輩2人でその声を聞きました。
私と先輩は一瞬固まりましたが、
先輩がすぐに、威勢良く「は~い」と返事をしながらその前座敷に向かいました。
が、案の定、そこにはおっさんしか居なく、
先輩もそのおっさん達に呼んでない!と言われ戻ってきました。
念の為、残ってる他のお客の所にも行き確認しましたが、
店内には女性のお客はいませんでした。お客はおろか、スタッフも全員男でした。
料理長にその話をすると、
以前、その前座敷で、正座して座っているおばあさんの幽霊を、
早朝、料理の仕込の為に来た他の料理人が目撃した事があるそうです。
めちゃくちゃ怖かったので、その日は料理長に車で送ってもらいました。
あれは幽霊の声だったのでしょうか・・・
2016年01月29日
もう駄目かもしれないから、最後に会いにきてやって
291 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] : 投稿日:2002/09/11 03:24:00
自分はおばあちゃんコだったのですが、その祖母が亡くなるときの話です。
だいぶ前の話なのですが、祖母は急に体の具合が悪くなり
入院することを余儀なくされました。
祖母は明治生まれの気丈な性格だったので「入院なんていやだよ」「ウチに帰りたい」と
病院を毛嫌いしておりました。
私は会社の帰りなど、時間の許す限りお見舞いに行きました。ですが、容態は悪化し
急に昏睡状態になってしまったのです。
母から会社に「もう駄目かもしれないから、最後に会いにきてやって」と連絡がありました。
私が病院に着いたときは叔母しかおらず、ちょうど洗濯物を屋上に取りに行く所でした。
机の上にコックリさんの表を広げて、代表の4人がそれを囲んで降 霊式を行うのです
601 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/05/17(火) 18:24:27 ID:qwSK61Ft0[1/9回(PC)]
僕は小学4年生の男子です。
僕のクラスでは少し前まで、『コックリさん』がはやっていました。放課
後、机の上にコックリさんの表を広げて、代表の4人がそれを囲んで降
霊式を行うのです。4人以外の人たちは、さらにその周りを囲んで降霊
式の様子を眺めていました。
僕は最初、コックリさんなんていないと考えていましたが、4人の指先
を10円玉に乗せて呪文のようなものを唱えると本当に10円玉が動く
ので、ビックリしてしまいました。
特に上手だったのが直人くんです。指を乗せる4人の中に直人くんが
いると、10円玉がまるで生き物のように動いて、占いやお告げをしてく
れるのです。それがまた、よく当たりました。
ところが先日、コックリさんをやろうとして集まっていたところを担任の
山上先生に見つかって、怒られてしまいました。
「コックリさんは幽霊でも何でもなく、簡単な催眠術のようなものなんだ。
心の成長がじゅうぶんではない君たちがコックリさんをやったら、心に
一生残る傷がつくかもしれない。だから、やってはいけないんだ!」
山上先生はそう説明すると、僕たちからコックリさんの表を取り上げ
て、破いてすててしまいました。
602 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/05/17(火) 18:25:17 ID:qwSK61Ft0[2/9回(PC)]
山上先生は30代半ばの男の先生で、冗談好きの明るい先生です。
一緒に遊んでくれるし、勉強をよくみてくれるので人気があります。ただ
女子たちからは、毛深いのがちょっとイヤと言われています。
そんな山上先生が、『コックリさんをやってはいけない』とものすごく怒
ったのです。だけど実際に10円玉が動くのを見た僕たちは、山上先生
の話に納得できませんでした。
その次の日の放課後、僕たちは表をこっそり作り直して、山上先生が
職員室に戻ったのを確認してからコックリさんを始めたのです。
10円玉に指先を置く4人の中に直人くんがいるので、女子たちがいつ
も以上に集まっていました。直人くんが呪文のようなものを唱えると、10
円玉はスルスルと動き出しました。
『や ま が み ゆ る さ な い』
教室がしーんとなってしまいました。みんな、お互いに顔を見合わせて、
コックリさんが山上先生の事を嫌いになってしまった、どうしようどうしよ
うと言い始めました。先生に何かタタリが起きるんじゃないかと心配にな
ってきたのです。僕もだんだんと心配になってきました。
直人くんが何だか苦しそうな顔で、どうすれば山上先生を許してくれま
すかとたずねました。
603 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/05/17(火) 18:27:01 ID:qwSK61Ft0[3/9回(PC)]
『ぜ つ た い に ゆ る さ な い』
『や ま が み こ ろ せ こ ろ さ な い と お ま え ら こ ろ す』
「山上を殺せ! 殺せ! 山上を殺せ! でなければ、お前らを殺す!」
直人くんが突然そう叫び出し、イスを持ち上げて黒板に向かって投げ
つけました。みんな、何が起こったのかすぐには理解できませんでした。
直人くんの顔を覗くと、歯をむき出して口からヨダレをたらしていました。
まるで、ケモノか何かになってしまったかのようです。
女子たち全員が悲鳴を上げ、体をひとつに寄せあいました。ドアの一
番近くにいた男子が山上先生を呼んでくると言って、教室を飛び出して
行きます。
直人くんは唸り声を上げながら、先生を殺すとちかわないと、かみ殺
してやると女子たちにせまりました。女子たちはうずくまり、再び悲鳴を
上げます。
僕は暴れる直人くんを羽交いじめにしようと、直人くんの後ろに回りこ
みました。後ろからそっと近付こうとしたとき、直人くんは片手で机を持
ち上げ、後ろを向くと同時に僕に向かってブン投げたのです。
机は僕の左側スレスレを通り、後ろにあった水そうに当たりました。ガ
シャーンとガラスの割れる音がひびき、女子たちがまた悲鳴を上げます。
水そうの中の金魚たちは床にこぼれ落ちてしまいました。
もし机が当たっていたら死んでいたかもしれない。そう思ったら、僕は
腰を抜かしてその場におしりをついてしまいました。
604 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/05/17(火) 18:28:18 ID:qwSK61Ft0[4/9回(PC)]
見せしめにお前から殺すと、直人くんが僕の方へ向かってきます。頭
では逃げなきゃと思うのですが、うまく足に力が入らなくて逃げることが
できませんでした。
ぐるるるぅ~~ がるるるぅ~~
直人くんが唸り声を上げます。もうダメだ、直人くんに殺されると思った
その時、教室のドアが開きました。山上先生が助けに来てくれたのです。
「お前たち、教室から出ろ!」
山上先生のひと声に弾かれて、僕いがいの全員が教室から逃げ出し
ました。僕も逃げたかったのですが、まだ足に力が入らないので逃げら
れませんでした。
ドアがピシャリと閉まって、教室の中には山上先生と直人くん、逃げ遅
れた僕の3人だけとなりました。
直人くんが山上先生に飛びかかります。山上先生は素早く伸ばした手
を直人くんの脇の下に差し入れて、そのまま彼の体を強引に持ち上げ
ました。
直人くんは逃れようと身をよじって暴れますが、山上先生の方が力が
強く、しかも直人くんの体を両手でガッチリ掴んでいるので、逃れること
は出来ません。手にかみ付こうとしますが、歯が届きません。
しかし足の自由が利くと気付くと、直人くんは山上先生のお腹や胸を
何度もけり上げました。先生も痛そうに顔をゆがめます。
605 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/05/17(火) 18:30:04 ID:qwSK61Ft0[5/9回(PC)]
「いいかげんにしやがれ…… キツネ野郎ぉ……」
小さな声でしたが、山上先生は確かにそう言いました。
そして今度は、山上先生が歯をむき出して唸り声を上げたのです。
暴れていた直人くんも、それを見ていた僕も息を飲んでしまいました。
「俺の可愛いガキどもに手ェ出しやがって。あまつさえ、俺を殺せと煽っ
てくれたそうだな? キツネごときが調子にのるな、喰い殺すぞ……」
山上先生は肩をいからせ、ヨダレがたれるのも構わずに犬のような4
本の太い牙をむき出しにします。
ぐるるるるるうぅ~~あぁぁ~~るうぅあぁぁぁ~~
マユをグッと寄せ、怒りに燃えた目を吊り上げて直人くんをにらみつ
けます。口の周りや鼻の筋に何本ものシワが入って、人相がすっかり
凶悪に変わっていました。直人くんと向き合っている様子は、まるで2
匹のケモノが争っているかのようです。
助けに来てくれたはずの山上先生までケモノのようになってしまって、
僕はわけがわからなくなりました。それに先生に牙が生えているなんて、
このとき初めて知ったのです。
直人くんは狂ったように体を激しくよじって、山上先生から逃れようと
します。しかしそれでも先生の方が力が強く、全くかないませんでした。
このときの先生の体は、いつもよりひと回り大きくなっていたような気が
します。
606 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/05/17(火) 18:32:04 ID:qwSK61Ft0[6/9回(PC)]
るるぅあぁぁ~~ぐぁるるうぅ~~あぁぁおぉぉぁ~~
山上先生は直人くんの体をグイッと引き寄せ、彼の鼻先でにらみつけ
ながら、さらに唸り声を上げます。にらみ付けられた直人くんは、クゥー
ン、クゥーンとすっかりおびえた声をもらし、オシッコまでもらしました。
そしてついに、山上先生が喰い殺さんばかりの勢いで吼えたのです。
ガゥッ!、ガルルウゥゥーッ!!、ガァウゥッ!!
教室の窓ガラスがビリビリと震えるほどの低く大きな声に、僕まで震え
上がってしまいました。
直人くんは身震いをして、そのまま気絶しました。そして、口から白い
煙のようなものを吐いたのでした。
「まったく、世話の焼けるガキどもだ……」
山上先生は直人くんの体を横に両手で抱え上げると、気絶している直
人くんに優しく笑いかけました。ようやく、いつもの山上先生に戻ってくれ
たのです。僕も足に力が入るようになったので、立ち上がることができま
した。
すると、山上先生は驚いた顔をして、さっきからそこにいたのかとたず
ねてきました。今まで気付いてなかったのかなと戸惑いながらもうなずく
と、山上先生はちょっとテレくさそうな顔をして、ここで見たことはみんな
にダマってろよと僕にクギをさしました。
607 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/05/17(火) 18:33:49 ID:qwSK61Ft0[7/9回(PC)]
山上先生が直人くんを保健室へ運んでいくのを見送ったあと、みんな
で教室を片付けて、金魚たちをお墓に埋めました。
片付けている途中、山上先生はどうやって直人くんを正気に戻したの
かと、みんなから質問ぜめにあってしまいました。先生からはダマってろ
と言われてましたが、みんなが余りにもしつこいので仕方なく、先生は犬
の鳴きマネをして直人くんを正気に戻したんだよと教えました。
山上先生が戻って来ると、さっそく女子のひとりが犬の鳴きマネをした
のはどうしてですかとたずねます。先生は苦笑いを浮かべて、約束を破
った僕の頭を軽く小突きました。痛かったです。
「コックリさんには、『戌年生まれの人は、コックリさんができない』という
言い伝えがある。コックリさんの正体はキツネと言われていて、キツネは
犬が怖い、つまり猟犬が怖いから戌年生まれの人には降りないらしい。
先生は戌年生まれだから、それを逆手にとって犬の鳴きマネをしたんだ」
山上先生から改めてそう説明されると、みんな、感心した声を上げまし
た。先生からそんなオカルト的な話を聞くとは、思わなかったからです。
しかし、そんなみんなに山上先生のカミナリが落ちました。
「そんなものは直人を正気に戻すために適当にやっただけのことで、意
味があってやったことではない! 幽霊なんてありもしない物にすがろう
とするから、おかしくなってしまうんだ。これにこりて、二度とコックリさん
をやらないように!」
608 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/05/17(火) 18:35:03 ID:qwSK61Ft0[8/9回(PC)]
このあとも山上先生からタップリしかられて、「これから毎日、放課後は
小テストの時間にするから覚悟するように」と、言われてしまいました。
次の日、直人くんはすっかり元通りになって学校へ来ました。直人くん
は教室でのことをよく覚えてないそうです。ただ、大暴れしたことは山上
先生から聞いていて、僕や女子たちに謝っていました。女子たちも最初
は怖がっていたけど、いつもの直人くんに戻ったと判り、自分たちにも責
任があるからと謝っていました。僕も謝りました。
その日の休み時間、僕は山上先生に呼び止められ、昨日は怖かった
かとか、昨日のことを突然思い出して怖くなったりすることはあるかとき
かれました。そんなことはないと答えると、先生はそれなら安心だとニカ
ッと歯を見せて笑いました。でも、もしそんな風になったら、自分か保健
室の先生に言えよとアドバイスもしてくれました。
僕のクラスで、『コックリさん』をやろうとする人はもういません。話題に
もしません。まるで、きれいサッパリ忘れてしまったかのようです。
ただ、僕にはわからないことがひとつだけ残っていて、今でも忘れられ
ないでいます。
山上先生と直人くんがにらみあっていたとき、先生の口には確かに『犬
のような4本の太い牙』があったはずのに、次の日に先生がニカッと歯を
見せて笑ったときには全くありませんでした。
609 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/05/17(火) 18:36:52 ID:qwSK61Ft0[9/9回(PC)]
山上先生の『犬のような太い牙』はどこへ行ってしまったのでしょう?
人間のするどくとがった歯のことを『犬歯』と言うんだと、お父さんから
習いました。人間の『犬歯』って、ネコの爪のように表に出たりひっこん
だりするものなんですか? だれか教えてください。
何となく、山上先生にはきけません……
終わり