2016年01月31日
い、いやぁ…… い、いたい……
635 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/06/26(日) 20:05:52 ID:h33A0+DJ0[1/3回(PC)]
私が中学生のとき、当時通っていた学習塾での体験です。
その学習塾は6階建てテナントビルの4階と5階、6階の3フロアに入
居していて、4階には事務室や塾長室などがあり、5階と6階は教室に
なっていました。
私は毎日夜遅くまで教室に残って勉強し、母の迎えの車で帰宅してい
ました。女の子の深夜のひとり歩きは危ないからと、母が協力してくれた
のです。
やはり遅くまで残って勉強していた、ある日のこと。
家に帰ろうと階段を下りていると、男の子のすすり泣く声が聞こえてき
ました。耳を済ませると、4階から聞こえてくるのが判ります。灯りの落
ちた廊下を覗くと、その突き当たりにある『塾長室』の前で、俯く人影を
見つけました。暗がりの中でしたが、背格好から小学生の男の子と判り
ました。
時刻は既に午後11時をまわっていて、小学生たちはとうに帰ったは
ずです。心配に思って声をかけようとすると、男の子はドアノブに手を
掛けて塾長室に入っていきました。
そっと後を追いかけてドアの前に立つと、中から苦痛を訴える男の子
の声が聞こえたのです。
「い、いやぁ…… い、いたい……」
私は驚いて、ドアを開けようとしました。
636 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/06/26(日) 20:06:48 ID:h33A0+DJ0[2/3回(PC)]
しかし、鍵が掛かっていて開きません。
「く、くるしいぃ…… くるしいよぉ…… きもちわるいぃ……」
「誰かいるの? ここを開けて! ねぇ、開けてッ!?」
ドアを何度も叩きましたが、開く様子はありません。
そのうち嘔吐する声が聞こえて来て、私は不安に駆られました。
「お願い、開けて! ねぇ、大丈夫?! どうしたのッ?!」
「何をやってんだ、浅井(私の名前)?」
廊下の蛍光灯が点いて、辺りが明るくなりました。
講師の先生が、廊下の灯りを点けてくれたのです。
灯りが点いたと同時に、うめき声が聞こえなくなりました。
私は、男の子が部屋の中で苦しんでいると先生に訴えました。
「塾長先生は必ず鍵を掛けて帰るから、部屋には誰も入れないはずだ
けどなぁ……」
先生は首を傾げつつも、合い鍵でドアを開けてくれました。
部屋の中には誰もおらず、代わりにツンと鼻を突く、漂白剤に似た臭
いが漂っていました。
「うわぁ、何でこんな臭いがするんだ?! 浅井、窓を開けてくれ!」
先生と協力して部屋の全ての窓を開けました。換気をしている間、や
っぱり何処かに男の子が隠れているんじゃないかと部屋中を探してみ
ましたが、結局、誰もいませんでした。
637 :潜水士 ◆MK4bj1r2OY [sage]投稿日:2005/06/26(日) 20:08:09 ID:h33A0+DJ0[3/3回(PC)]
何かの見間違い、聞き違いだよと、先生に諭されてしまいました。
そして釈然としないまま、母の迎えの車に乗って帰宅したのでした。
この学習塾には女子大入学までの8年間ほど通いましたが、このよう
な体験はこれ1回きりです。
その学習塾も、『塾長と男子中学生との同性援助交際』という、およそ
教育者にあるまじき行為が発覚して、閉鎖してしまいました。
終わり
at 19:00│Comments(0)│心霊