2016年05月31日
みちづれ
24 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/06/01 10:17:00
[みちづれ]
サークルの飲み会の後、ほろ酔い気分で駅のベンチでウトウトしていると、目の
前で労務者風の中年男がスッとホーム下に転落した。
俺は立ち上がってホーム脇まで駆け寄った。見ると男が線路の上でうつ伏せに倒
れている。俺はとっさに飛び降り、男を立たせようとしたが、俺も酔っぱらって
いるせいか力が入らない。
「おーい、誰かきてくれーーっ」
俺が大声で呼んでも、ホームには駅員はおろか、乗客さえ一人もいなかった。
そこに電車が近づいて来るのが目に入った。俺は慌てて男を引きずり起こそうと
したが、男の体は鉛のように重くビクとも動かない。気がつくと電車が目前まで
迫ってきていた。
あと10メートル、5メートル、3メートル、1メートル……
「お客さん、気を確かに!」
その声で正気に戻ったとき、俺は駅員に羽交い絞めにされていた。その駅員が言
うには、俺は今まさに通過電車に飛び込もうとしていたらしいのだ。
電車が通り過ぎた後、ふと前を見ると、先程の労務者風の男が反対側のホームの
片隅で、恨めしそうに俺を睨みつけていたが、スーッと消えるようにいなくなり、
同時に耳元で声がした。
「命びろいしたな……」
at 15:00│Comments(0)│心霊